景気刺激策から読む~景気の底打ち~


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皆さん、おはようございます。『やさしい株のはじめ方』サポーターのみっちーです。

今回は「政治」に関するコラムを書いたわけですが、正直予想以上に労力を使いました(汗”) まず、過去に発表された政策を詳しく調べるというのが、実際やってみるとかなりの難作業でした。

はじめは「ネットで検索したら何とかなる」と思っていたのですが、これがまったくダメで、結局図書館に行って約20日分の日経新聞を読むことにしました。私はこのとき図書館の存在意義をやっと見出しましたよ。

「こんな量の新聞を平然と置いていられる場所はここしかない」と。(笑)

さて、前回米国住宅価格から読む~景気の底打ち~、前々回消費者信頼感指数から読む~景気の底打ち~にかけて、「ここ1ヶ月(3月10日~4月10日)で株価は+25%と大幅に反発したけれども、肝心の実体経済はそれに見合うほど良くなる傾向があったのか?」を検証してきましたが、「そのような傾向は見られず、実体経済の回復はまだしばらく先になるように思われる」という、とりあえずの結論が導き出されました。

そして、消去法的に、今回の株価上昇は「政府の景気刺激策」によって引き起こされたのでは?という仮説が浮かび上がりました。

そこで今回のコラムでは、【政府の景気刺激策が、この株価上昇を引き起こしたのか?】と、同時に【政府の景気刺激策は経済の活性化に繋がるのか?】を検証してみたいと思います。

まず具体的にどこを刺激すれば、米国・日本の経済は効果的に回復するかをもう一度確認しておきましょう。

では、米国経済からです。前々回の米国住宅価格から読む~景気の底打ち~で、現在 米国経済は以下の悪循環の中にいるだろうということを説明しました。

<米国人は住宅を担保に借金してモノを買う>

住宅価格が大幅に下落→“自力”で返済
    ↓
“自力”で返済できない
    ↓
住宅を売る
    ↓
市場に住宅が増えるので、住宅価格が下がる
    ↓
住宅ローンを商品化した金融商品の価格が下がる
    ↓
以降、繰り返し
    ↓
・住宅価格の値上がり益を当てにした“個人消費が無くなる”
・住宅ローンを商品化した金融商品に投資していた“金融機関が損失を被り続ける”

よって、まず「住宅価格の下落を止める」というのが、米国経済回復のポイントとなることは間違いないかと思います。

また、前回の消費者信頼感指数から読む~景気の底打ち~で、「米国経済の約70%を”個人の消費(米国民の買い物)”が占めている」ということを紹介しましたが、この点から考えて「個人消費を刺激する」というのも大きなポイントになるのではないかと思います。

続きまして、日本経済です。前回の記事でも触れましたが、日本経済においてもやはり個人消費が大きな影響を持っています(全体の約55%を占めます)。よって、当然、日本経済においても「個人消費を刺激する」のが大切になってきます。

加えて、日本の場合は製造業が経済に占める割合が大きいので、「製造業の需要(注文)を刺激する」のも大きなポイントになるのではないかと思います(その中でも自動車業界は、機械受注全体の60%を占めるとも言われる超大型産業です)。

それでは、上記の点を踏まえて、株価が底を打った3月10日から「主要経済ニュースと株価の関係」を時系列で見ていきましょう。

※今回の記事の内容は、あくまで大きな株価反発のあった3月末までのものです。4月に入り、日米政府から企業や個人の消費を刺激する狙いを持った対策がいくつか発表されています。次回は、この「景気の回復に直結する?対策」を詳しく見ていきたいと思います。

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以上が、今回の反発相場中に起きた「大きな株価上昇」と「その直前の出来事」です。では、順番に詳しく見ていきましょう。

3/10 米金融大手シティ、1-3月期の収益改善

このサプライズニュースを受け、金融株を中心に大きな買いが入りました。これが今回の反発相場の始まりになりました(ただ、結果的にこれが始まりとなりましたが、本当の意味での始まりは12日の発表からだと思います)。

業績回復の主な原因に「社債市場の回復」を上げています。金利が歴史的低水準になったことで投資家への支払いコストが減り、債券を発行する企業が増え、その結果「債券の販売手数料による収益が大きく増えた」そうです。

さらに、債券部門に強みを持っていた「リーマン・ブラザーズ」「ベア・スターンズ」が破綻したことで、市場競争が緩くなっていたことも、収益増加に大きく影響したようです。また、3月頭から商品市場が底を打ち、大きく反発中だったことも重なって楽観的予想になったようです。

※ただ、肝心の住宅ローン関連金融商品の値下がりがまだ完全に止まっていないことには、注意しておかねばなりません。先日、米大手金融機関が相次ぎ黒字の決算を発表していましたが、あれは本当の業績を表した数字ではないと思います。米政府が一時的に「時価会計基準を緩和(今回は特別だから、もう少し様子を見てから損失を確定してもOKです)」して、実際の損失を計上しなくて済んだため、黒字になっただけのような気がします。

3/12 日本政府、国内ETF買取策を検討
      G20(財務省・中央銀行総裁会議)開幕

ETF(上場投資信託)は市場にある個別株をセット化(福袋みたいなイメージ)したものですから、買い取りが実施されれば間違いなく株価の下支えになります。

G20に関しては、とりあえず「世界経済を引っ張る20カ国の金融担当者が集まって対策を練る会議」と、覚えておいてください。そのG20ですが、まずはじめに今回の話し合いの方向性を市場に示しました。

1.積極的に雇用創出のための政府支援をする
2.IMFの融資枠を10倍の5000億ドルに拡大する
3.金融機関の監督・規制を強化する

1.積極的に雇用創出のための政府支援をする

財政支出額を数字(GDP比)で示したことで、市場に具体的なイメージを持たせることができたように思えます。ただ、具体的に何にどれだけ使うかは、この時点ではまだ明確に示されていませんでした。

2.IMFの融資枠を10倍の5000億ドルに拡大する

IMFに関しては、とりあえず「各国銀行の総まとめ役」と覚えておいてください。

09年、発展途上国だけで7000億ドルの資金不足が予想されていただけに、この発表は市場に大きな安心感を与えたのだと思います。

企業は黒字を出していても、融資を受けられなければ倒産してしまうことがありますので、「融資枠の拡大」は一般の方が思っている以上に大きい意味を持っています。

3.金融機関の監督・規制を強化する

これまでの資本主義社会では「自由な競争こそ正しい」とされ、市場に規制を設けることは反対されていたのですが、今回の金融バブル崩壊を経て、この流れが大きく変わりました。

この決定は、歴史が変わった瞬間と言ってもいいと思います。ただ、これはすぐに景気回復に繋がる対策ではないので、今回はこれ以上進みません(笑)

3/23 米、最大1兆ドル、不良資産買い取り発表

市場の反応もそうですが、個人的にもこの対策が最も景気回復に直結するものではないかと思います。

これまで発表された対策は「景気回復」というよりも、「景気を悪化させない」といったやや消極的なイメージでしたが、今回発表された対策は「実施されれば確実に景気が回復する」とイメージできました。

ただ、この仕組みがまたクセモノと言いますか、本当に実現できるのか?という不安もあります。。。この件に関しましてはまた詳しく検討しないといけないと思うのですが、今回はページの都合上、申し訳ありませんが省略させていただきます(汗”)

以上より、「今回の株価上昇は、政府の景気刺激策によって引き起こされた」と結論付けて問題ないかと思います。

ただし、「それが本当に経済の回復に繋がるのか?」と言われればそうでもなく、どちらかと言えば「まだ悪化を食い止めるのに手一杯で、回復へ向けた対策までまだ手が回っていない」という印象を受けました。ですので、個人的にはこの反発は期待先行で少し過大評価されているかな、と思っています。

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記事作成にあたり、ファイナンシャルプランナーの前田さんにご協力をいただいております(前田さんの紹介ページです)。