米国住宅価格から読む~景気の底打ち~


hirotoface.gif

皆さん、おはようございます。 『やさしい株のはじめ方』サポーターのみっちーです。

先週末は各地「桜」が満開となり、花見をされた方も多いのではないでしょうか。かく言う私もその一人です。あいにく天気は良くなかったのですが、その分予期せぬアクシデントなどがあり、例年以上に楽しめた花見となりました♪

さて、日米の株価が3月10日あたりに底をつけてから早や1ヶ月が経とうとしています。このあいだ株価は実に約25%も上昇しました。


《参照サイト》
ヤフーファイナンス「日経平均株価」
同上「ダウ工業平均株価(≒米国の日経平均)」

この影響もあってか、「景気が底打ちしたのでは?」という声を巷でチラホラ聞くようになりました。

実際のところ、景気は本当に底打ちしたのでしょうか。これは皆さんも大変気になっていることだと思います。そこで、第1回から数回に渡り、「景気は本当に底打ちしたのか?」を徹底調査してみたいと思います。そのあとは、お伝えしていた通り「時事ニュースの解説」と「有効と思われる具体的な運用方法の提案」を主にしていきます。

調査テーマ
今回の大ショック(サブプライムショック)の根源、米国住宅価格は下げ止まったのか?

て、そもそもこの大ショックは「米国の住宅価格の大下落」によって引き起こされたのですが、この肝心の米国住宅価格は本当に下げ止まったのでしょうか?

と、その前に、かんたんに今回の大ショックの背景を説明させていただきますね。まず、知っていただきたいのは、米国人の「モノを買うときの行動パターン」です。ズバリ言いますと、「米国人は基本的に借金してモノを買います」(すみません、ちょっと言いすぎなのですが、こう考えていただく方がわかりやすいので)。そして、お金を借りるときに担保を用意するのですが、その担保に使われるのが「住宅」なのです(借金を返せなくなった場合は住宅を持っていかれます)。

私たち日本人からしてみれば、まったく信じられないくらい大胆なモノの買い方なのですが、米国人にとってはそれが当たり前だったのです。なぜなら、米国の住宅価格はここ数十年のあいだ上がり続けていて、多くの米国人はそれがまだまだ続くと思っていたのです。ですから、借金をしても、住宅価格が上がってから住宅を売って、その値上がり益を借金の返済に充てれば良いと考えていたのです。つまり、将来の住宅の値上がり益を“前借り”するような感覚で借金をしてモノを買っていたのです。

米国の2006年の出生率(人口1000人あたりにおける子供が生まれる数)は2.1と日本の1.3を大きく上回っており、さらに移民も積極的に受け入れているので、総人口数は今後もしばらく上昇を続けると予想されています(ちなみに出生率2.1という水準は1975年の日本と同じくらいです)。人口が増えて住宅を欲しがる人が増えれば、住宅の価格は自然と上がっていきますので、多くの米国人がこのように考えてしまったのも無理はないのかもしれません。

しかし、1999年から2000年にかけて発生した「米国ITバブル」が崩壊したあと、景気刺激策として取られた「低金利政策」がこの当たり前の流れを大きくゆがませてしまったのです。低金利政策が実施されると、住宅ローンの金利もそれに伴って大きく下落しました。これが米国人の「モノを買うときの行動パターン」にハマってしまったのです。「住宅価格は上がり続ける」「住宅ローンを低金利で組める」この2つの前提が米国人の消費行動を一気に“加速”させました。その結果、企業業績は軒並み反転し、米国経済は急速に回復しました。ですが、その反動で住宅価格も急速に上昇してしまったのです。

■政策金利
各国の銀行預金・貸出金利の目安となる金利

《参照サイト》
価格.COM「主要政策金利の推移」

現在は「ここで一度ブレーキを踏まなければならなかった」というのが一般論となっています。しかし、現実はそのまま加速を続けてしまい、ブレーキを踏んだ頃にはもう手遅れになってしまっていたのです。住宅ローンを組める対象者を返済能力に不安のある人まで広げ(サブプライムローン)、その住宅ローン自体までも商品化して、さらに借金ができる仕組みを作ったり、と。こうして冷静になった今振り返ると、本当に“ものすごい”ことをしていたのです(汗”)

そして、この住宅バブルが崩壊した今、この流れとまったく逆のことが起きているのです。住宅価格が大幅に下落してしまったので、まず、値上がり益を当てに借金して使ってしまったお金を“自力”で返済しなければなりません。もし、手元にお金がなければその住宅を売って返済に充てることになります。そうすると、市場に新たな住宅が供給されます。今までだと「住宅価格は上がり続けるのが当たり前」だったので、すぐに新しい買い手が見つかったのですが、今はそんなこと誰も思っていませんので、なかなか買い手が見つかりません。すると、住宅価格は買い手が見つかるまでまた一段と下がってしまいます…(以降、繰り返し)。

そして、この流れが続く限り、「値上がり益」を当てにした消費は一切期待できません(この値上がり益を当てにした消費に、日本のトヨタ等の自動車が多く含まれていたのです)。また、住宅ローンを商品化した金融商品に投資していた金融機関も損失を被り続けます。こうなると企業業績は悪化する一方で、労働者がもらえる給与は少なくなり、消費がまた一段と落ち込んでしまいます。。。現在はこの非常に悪いサイクルの中にいるのです。

つまり、そもそもの根源である「住宅価格がある程度下げ止まらない限り、景気の回復は望みにくい」のです(これと似たようなことがヨーロッパでも起きているので本当に大変です)。

では、前置きが長くなってしまいましたが(というよりも、メインになってしまいましたが 汗”)、現在の米国住宅価格の動向を見てみましょう。

■S&P ケース・シラー住宅価格指数
アメリカ国内の住宅価格動向を示す最も代表的な指数です

《参照サイト》
ウィキペディア「S&P ケース・シラー住宅価格指数」

■S&P ケース・シラー住宅価格指数 先物
機関投資家が上記指数の将来価格を予想したものを表しています

《参照サイト》
・MSJ日本証券新聞 3月4日

【調査結果】
上記参照サイトにあるグラフを見てもそうですが、何か革新的な財政政策が“具体的”に実行へ向けて進まない限り、住宅価格が下げ止まるまで、まだしばらく時間がかかるのではないでしょうか。大幅に下落したといっても、現在の住宅価格はまだ決して以前と比べて“低い”と言える水準ではありませんから(財政政策に関しましては、後日改めて特集を組む予定です)。

【本日のまとめ】

1999年~2000年 ITバブル崩壊

2001年 NY 911テロ

アメリカ景気悪化

2001年~2004年 政策金利5%→1%

大量の資金が市場へ流れ込み始める

2004年 金利引き上げ開始

住宅ローン金利が上がるのを恐れて、住宅購入ラッシュ開始

住宅価格の上昇

住宅バブル発生=家を担保に車を購入

サブプライムローン誕生

2006年 住宅バブル崩壊

2007年 サブプライム関連ローンの破綻

アメリカ金融危機発生

世界経済の失速

次回は、【日米の代表的な統計指標は、本当に景気の底打ちを示しているのか?】を徹底調査してみたいと思います。ご意見・ご感想等があればコメントに残していただけると嬉しく思います。本日は最後までご精読いただき、ありがとうございました。

記事作成にあたり、ファイナンシャルプランナーの前田さんにご協力をいただいております(前田さんの紹介ページです)。